About

新型コロナウイルスが日本国内でも広がった2020年4月、日本政府は水際対策を実施。あれから2年、今もつづく日本の入国制限により、多くの国際家族とカップルたちが離散状態を強いられています(*2022年5月25日時点)。岸田政権の掲げる「G7でも最も厳しい」入国制限は日本の経済、文化、教育に大きな影を落とし、国際家族やカップルのみならず外国籍の同性婚・事実婚パートナー、留学生、労働者、日系人、移民や難民たちの人生を一変させました。いま日本の「水際」で何が起きているのか? 水際対策とはそもそも何だったのか? 多様な当事者たちの証言を通して、いま、ふたたび考えます──わたしたちにとって〈国家〉とは? 家族とは?

作品情報

タイトル: 『水際(みぎわ)まさりて──「令和鎖国」で引き裂かれた家族たち』
仕様: 10分・60分/カラー/日、英、独/1.85:1/H265、DCP(予定)
製作: ハヤチネ芸術舎
監督/制作: 新井卓(あらいたかし)

公開予定:
10分版→ 2022年5月下旬、オンライン配信(無償)
60分版 → 2022年冬、劇場公開、オンライン配信(有償)

あらすじ

ドイツ人のノリアとパートナーの日本人・タカシは、日本の入国制限により9ヶ月に渡る離散状態を経験する。再会のめどが立たない二人は「リモート婚」と呼ばれる方法(書類だけで結婚手続きを進める方法)で、国際結婚に踏み切った。これでもう、国境で引き裂かれることはない──二人はそう思っていた。

2021年12月1日、在ベルリン日本大使館よりノリアに一通のメールが届く。「日本は本日さらなる入国制限を決定し、取得済みビザはすべて無効になりました。人道上の理由が認められる場合を除き、外国人の新規入国は一律拒否されます。」日本への移住のためノリアがベルリンを発つ、わずか二日前の出来事だった。

結婚していても、実の子供であっても家族に会えない──事態に衝撃を受けた二人は政府に働きかけるため、同じ境遇にあった仲間たちとオンライン署名活動を立ち上げた。署名活動と並行して実施した実態調査により、十数万人に上る待機留学生のほか、国際家族、カップル、労働者、日系人、難民、元日本人たちが、二年間にわたる日本の入国制限によって精神的、身体的、経済的に苦しみ続けてきた実態が明らかになっていく。
2022年5月、日本は家族やパートナーとの再会を制限するほとんど唯一の国になった。国際社会とのズレが顕著になり「開国」の呼び声が高まる今、なぜ日本は水際対策にこだわりつづけるのか?

多様な当事者たちのロング・インタビューと専門家への聞き取りを通して、コロナ禍の水際から、日本の過去・現在・未来がを透視する。